花と嵐25
つくし
花沢類の腕の中でいっぱいいっぱい泣いたおかげで、しばらくは何も考えずにすんだ。。
ぼーとして窓の景色を眺めつづけたり天井や壁の模様を見続けていたりして時間をやり過ごす。。
いつも考え込んでばかりの私だったから、ただ、ぼーとしているだけの今が
心にも身体にも楽に思えた。
花沢類はただ何も言わずにだまって側にいてくれる。
何だかまるで非常階段にいるみたいだ。
「何?」
私の考えを見透かしたのか花沢類が聞いてくる。
「ううん・・・なんかさ。非常階段思いだしちゃって・・・。しばらく行ってないから。」
「恋しい?」
「ん・・・あそこはいつだって私のオアシスだったから。」
花沢類は
「そうだね。でもオレ・・牧野と二人きりならどこに至ってそこが非常階段に思えるよ」
「え・・?」
クスって笑うと
「ああそうだ。さっき朝食が届いたんだ。食べる?」
そう言ってトレイを持って来てくれた。
「お腹空いてないから。花沢類は朝食食べたの?良かったらそれ食べて」
「空いてないからいいよ。ジュースなら飲めそう?」
「うん・・・そういえば喉は渇いてるかも。」
「じゃ、何か買ってくる。何がいい?」
オレンジと言おうとしたら、ドアが突然開いて滋さん桜子優紀が入って来て
美作さんが息を切らせて追いかけるようにして入って来た。
「つくしー」
一目三に滋さんが飛びついてきて、ワンワンおお泣きした。
「おい!滋牧野怪我してんだぞ!ちったあ加減しろ!」
「そうですよ。滋さん」
引き離そうとする美作さんや桜子に
「だってえ〜つくしのこと心配で心配で〜」
そう言って泣きじゃくる滋さんに桜子も泣いて
「ずるいですよ。滋さん・・・私だってすごい心配だったんですから・・。」
「滋さん・・桜子・・・ごめんね。心配かけて」
「先輩・・私たちがついていますからね。先輩は雑草なんですから・・負けないで下さい。」
そう言ってやさしく抱きついてきた。
あい変わらずの毒舌だけどそれが桜子流のやさしさだと私は知っている。
優紀は涙を流しながらも、さっき西門さんの使いの人がつくしの身の回りの物届けて
くれたよ。と言って備え付けのチェストに着替えを入れたり洗面用具を出してくれたりした。
「おーみんなそろったな。」
西門さんもあらわれた。
「まったくこいつらは〜」
「まあまあ、あきら・・みんな牧野のことが心配なんだよ。」
・
「そうだよ。なのにあきら君はさ、さっきから角丸出しよ!」
「おいおい滋〜」
はあ〜と一人ため息をつく美作さん。
「はいはい。それまでです!今から先輩お着替えしますから皆さん病室から出て行ってくださいね。」
「そうだ、つくしが着替える間に時間があるからニッシーケーキ買ってきてよ。」
「え!?何でオレが?しかも何でケーキなんだよ。」
「つべこべ言わない〜!こういう時は甘い物が一番!」
「どうせお前が食べたいんだろ!」
「ニッシー」
滋さんがうーと吠えるようなマネをすると西門さんが
「わかたよ〜おい、あきら行くぞ!」
「なんだよ〜オレもかよ!」
「じゃあ、ちょっくら行ってくるか」
がんばって〜とまるで他人ごとのような素振りの花沢類にも
「花沢さんも、どこかで 時間つぶしてて下さいね。8階に喫茶室がありますから
朝食でも召し上がってきて下さい。」
桜子が言うと
「オレ?オレは別にこのままでいいけど。着替えるならどうぞ」
と桜子に怪訝そうな顔を向ける。
「//花沢類も行って来て///」
「そ?牧野がそう言うなら行くよ。帰りにジュース買って来るから。」
「ありがとう。」
「いいよ」
と手をひらひらさせて出て行った。
「何か花沢さん変わりましたね。」
桜子がパジャマを渡しながらつぶやく。
「へ?」
「何かこう先輩の前だと凄く男らしいっていうか。ホントに先輩のこと
大切に思ってるのが全身に溢れてる感じです。」
「そうだね〜類君いつもボ〜としてるイメージが強いもんね。」
「そうかな?いつもあんな感じだけど。」
「「「はあ〜つくしって本当に鈍感!!!」」」